もてまん
父と子と
次の日の早朝、目覚まし時計が四時十五分に鳴り響いた。
(天気はどうだ?)
少し明けかけた朝の薄暗闇の中、繁徳は窓を開けて外を見る。
どうやら天気は良さそうだ。
早々、繁徳が着替えて居間に下りると、正徳は既に、仕度を整えコーヒーを啜っていた。
「父さん、おはよう。早いね」
「お前こそ、よく起きれたな」
「目覚まし時計、仕掛けてたからね」
「お前も、コーヒーどうだ」
「うん。それより、確か、ここにシリアルがあったはずだよ……」
繁徳はカップボードの下の扉を開ける。
「ちょっと何か腹に入れないと、俺、動けないよ……」
「そうだな」
正徳と二人、シリアルに牛乳をかけて食べる。
繁徳は妙に浮き立つ気分に戸惑っていた。
「そろそろ行くか」
「うん」
物音をたてないように気を使い、二人でそっと玄関の外へ出た。
(母さん、起こしちゃ悪いからな)