もてまん
「……紅茶でお願いします」
暫く考えて、繁徳はそう答えた。
「コーヒーって言われても、インスタントしかないがね。
あたしは、紅茶党なのさ。
コーヒーは胃にきていけないよ」
千鶴子は、ちょっと悪戯っぽく笑って、そんなことを言う。
(なんだよ、それなら初めから聞くなよ……)
繁徳はちょっとムッとした。
千鶴子は、そんな繁徳の様子にはお構いなしに、こぶりのポットにゆっくりとお湯を注いでいく。
そして、ポットにぴったりのキルト地のカバーをかけ、テーブルに運んできた。
テーブルにはティーカップが二客と小さなミルクポット、スティックシュガーをさしたガラスのコップ、砂時計、そして蓋付きの籠が置いてある。
千鶴子は、ポットをテーブルに置くと砂時計を逆さにした。
「三分計さ。
何かにつけ、大雑把なあたしだけど、こういうところは几帳面でね」