もてまん

「そうだな……

明日、予備校の帰り、あの店に寄って聞いてみるか」


「シゲ、一緒に行ってくれるの?」

「当たり前だろ、俺の親戚でもあるんだぜ」


「ハハ、それもそうだね」


舞が、やっと笑った。


「あぁ、良かった。これでちょっと安心」


「慌てて来て見れば、千鶴子さんか……

何か、気抜けたよ」


「だって、私にはシゲの次に大事な人なのよ。

それに、シゲとも話、したかったしね。

予備校じゃ、顔は見れても、ろくに話せないものね」


「そうだな」

「シゲ、ついでと言っちゃなんだけど……ひとつお願い」


舞が真面目な顔つきで、繁徳を見つめた。


「何だよ」

「キスして……」


舞が真っ直ぐに繁徳を見た。
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