もてまん
「こんな話、この歳になるまで誰にしようって思うことはなかったけど、あんたには聞いてもらいたって気がするんだよ。
あんた、こんな婆さんの思い出話に付き合ってくれるかい?」
「え、はい、僕、結構そういうの好きです。
それに千鶴子さんの思い出話って、なんか面白そうだし」
クッキーを頬張りながら、繁徳は頷いた。
それは、繁徳にとっては自然の流れで、今日の目的でもあったのだ。
「そうかい、そう言って貰えると嬉しいね……」
そして、千鶴子の長い長い思い出話が始まった。