もてまん
「あなた達って、なんか不思議な関係ね。
あの老紳士もだけど」
「増田さんのことですか?」
「増田さんっておっしゃるの? あの方。
毎日いらしてる。
さっきもお見舞いにいらして、岩下さんが廊下にいるのをご覧になると、声もかけずにお帰りになってしまって……」
「リハビリの邪魔しちゃいけないって、思ったんじゃないかな」
繁徳はエレベータホールで出会った、増田の嬉しそうな様子を思い浮かべた。
「搬送された日も付き添ってらっしゃって、みんな、ご主人かと勘違いしてね。
あらいけない、こんなこと詮索しちゃいけないわね」
麗が繁徳の方を向いて、ニコリと笑った。
「僕もお似合いの二人だと思いますよ」
「そうよね、そう見えるわよね」
麗は自分に納得させるように小さく頷いた。