もてまん

「だって、舞、黒澤くんと付き合ってるのかなって思って。

この間、マックでデートしてたじゃない」


(そうくるか……)


「あれは、違うって……」


繁徳はできるだけ迷惑そうに顔を強張らせた。


「あたしの勝手な思い込みだったみたい」


サトチンは繁徳の顔を覗き込むように、ニヤッとした。


「気になるよ、風邪じゃないなら何なんだよ」

「たぶん……

昨日、母親と揉めたんじゃないかなって」

「なんだ、親子喧嘩か」

「昨日、舞、家出したらしいの」

「えっ!」


そこまで知ってるのか、と繁徳はちょっと驚く。

果たしてこいつは何処まで知っているのか?

今度はそれが気になった。

繁徳は、その先を促すようにサトチンを目で捕らえて放さなかった。
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