もてまん
「昨日の夜中にね、舞のママから凄い剣幕であたしの携帯に電話があって、
『うちの舞を出せ!』って。
あたし何のことか分からなくって黙ってたら、
『そこにいるのは判ってる。出さないと警察に通報する』って」
「なんで、警察なんだよ」
「あたしだってわかんないよ。
でも凄んだ声で、あたし怖くなって、うちにはいませんって電話を切ったの」
「それで?」
「それがね、その電話、舞の携帯からだったの。
ほら、発信番号見ればわかるじゃない?
その後も、何度も電話が掛かってきて、あたし怖くて携帯の電源切って、布団かぶって寝ちゃった」
「舞の母さんは、それで納得したのかな?」
「そんなの、あたしわかんないよ。
でも、今日、舞は休みだし。
あたし、やっぱ心配だよ」
なんやかんや言っても、サトチンは舞のことを心配してくれているらしい。
「大丈夫だよ、北島、ああ見えてしっかりしてるから」
「黒澤くんは心配じゃないの?」
「え、いや、心配だよ……」
あまりにストレートな質問に、繁徳は少しまごついた。