もてまん
「最近の舞、ちょっと変だったし……
毎日のようにあたしにアリバイ頼んで、何処かへ行ってたみたい。
てっきり黒澤くんとデートかと思ってたんだ、あたし」
「……」
今度は完全に言葉に窮した。
「黒澤くんじゃないとしたら、誰かな?
舞の彼氏って……」
「何で、男と結びつけたがるんだよ」
「へへ、もしかして黒澤くん、自分じゃなくてショック?」
サトチンが悪戯っぽく笑った。
「女の勘だよ、勘。
きっと舞は、今頃彼氏と一緒にランデブー、かな」
「まさか」
「舞が携帯持ってないとすると、確かめる術はないけどね」
嬉しそうに笑うサトチンの顔を、繁徳は呆気にとられて見つめていた。
「まぁ、何か判明したら、教えてあげるよ。じゃ」
サトチンはそう言い残して、去っていった。