もてまん
空港ロビーで待ち合わせた二人は、緊張して、ぎこちなく手を繋ぎ飛行機に乗り込んだ。
二人とも、少しの着替えを詰めただけの身軽な手荷物だ。
機内でも舞はソワソワして、持ってきた沖縄ガイドブックをパラパラとめくっては閉じ、めくっては閉じていた。
(中身なんか見てないだろ、舞)
その緊張が、繁徳にもヒシヒシと伝わってくる。
「舞、もしかして、後悔してる?」
繁徳が小声で囁いた。
舞が驚いて繁徳を見る。
「なんで?」
「だって、千鶴子さんが勝手に決めた旅行だろ」
「あたしが頼んだんだよ、千鶴子さんに。
シゲの合格祝いはこの旅行がいいって」
舞ははっきりとそう言って、繁徳を真っ直ぐ見た。
「緊張して何か悪い?
初めてなんだもん。
二人で旅行も、沖縄も、それに……」