もてまん
繁徳は先ず、書類の内容を確認した。
一枚は、この小包が送られた経緯が記された法律事務所からの手紙だった。
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黒澤繁徳様
私共は、岩下千鶴子様より遺言の執行を承ったテーミス法律事務所でございます。
この度、遺言による故人の財産整理が終了し、貴殿宛の贈与の目録が確定いたしましたので、ここにご報告させて頂きます。
また、内容をご確認のうえ、手続きのため、同封の書類を返送して頂きたくお願い申し上げます。
もし、この贈与の受け取りを拒否なさりたい場合は、ご面倒ですが下記の連絡先へご一報いただきたく、重ねてお願い申し上げます。
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贈与?
目録?
繁徳はきつねにつままれたように、二枚目の目録に目を移した。
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<目 録>
一、現金 金五百三十万円也
二、ピアノ 一台(スタンウェイ製グランドピアノ)
* 六年間の間は、寺田倉庫にて保管(保管料支払済)
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そして、三枚目の紙は、現金の振込み先指定の用紙。
四枚目は、ピアノ倉庫保管料の領収書だった。