もてまん
着てるものなんて構っちゃいられない、寝巻きの上にガウンをひっかけて外へ出た。

見ると、下では、市場の人たちが片付けをしてる最中だった。

でも、荷には売れ残りの品が、まだ沢山積んであるじゃないか。

女も三十過ぎれば立派なおばさんさ。

あたしゃ、売れ残りでいいから売ってくれないかって頼みこんだ。

兎に角その時は、食べ物を手に入れるのに必死だった。

自分では形振りかまわないおばさんのつもりでいたんだがね。

東洋人は年より若く見られるのが普通なのさ。

あたしも何度も未成年に間違えられた。

その上、その時は朝起きぬけだろ?

化粧っけも全くなくて。

きっとあたしゃ、母親に怒られた、哀れな子供に見えたのかもしれないねぇ……
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