もてまん
あたしゃ恥ずかしくて、そのまま逃げるように部屋へ上がっちまった。

第一印象は最悪だったね、お互いに。

それからは、市が立つ度に気まずく顔合わせてた。

向こうも、あたしのことを覚えてた。

時には、ちょっと、おまけしてもらったりしてね。

何週間かたって、お互いのわだかまりが消えたころ、やっとあたしもフランシスの様子を観察する余裕が出てきた。

フランシスはよくよく見ると、そりゃあいい男だったのさ。

そう、ジョージ・クルーニを少しごつくした感じさ。

身体もほかの男達よりひと回り大きくて目立ってた。

そして彼が他の男と一番違っていたとこは、その目だよ。

彼は、客が買った品物を手渡す時、じっと目を覗き込むようように相手を見るのさ。

あたしも皆と同じように覗き込まれた。

なんか心ん中まで覗かれたように、ドキッとしたもんさ。

それは彼の癖っていうか、彼の真っ直ぐな性格の表れというか。

兎に角、相手をがっちりと掴んじまうのさ。

その目でね。
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