もてまん
月曜日、英語の教室に入ると、舞が友達数人と騒いでいた。
女が集まる場所には、なんだか近寄り難いものだ。
特に繁徳のような無気力な男にとっては、攻撃的で、あら捜しされてるような気さえするのだ。
(なんで女は群れるんだろうか?)
繁徳はわざと遠巻きに彼女らを避け、教室の最前列に席をとった。
避けたつもりであったが、それに気づいた舞がこちらへ歩いて来る。
「シゲ、今度の土曜、カラオケ行かない?」
舞はニッコリと笑いながら繁徳を誘った。
「土曜の、夜?」
繁徳は、舞が自分を誘ったことに驚いていた。
「違う、昼だよ。二時くらいからさ、南口のシダックス。夜は混んでるし、親うるさいしさ……」
(二時って、それ、無理じゃん)
繁徳は、できるだけ落胆を気付かれないよう冷静を装い、答えた。
「ごめん、俺、約束があって無理だわ……」
「えっ、もしかしてデートとか?」
その瞬間、舞の顔から笑顔が消えた。