もてまん
(やっぱ、舞って可愛いな)
繁徳は、舞の姿をこっそりと目で追った。
そして、このタイミングの悪さを呪った。
よりによって土曜の二時とは間が悪い。
(次、誘ってくれっかなぁ~)
そしてその不安を打ち消すように、繁徳は舞の瞳を覗き込んだ、その瞬間を思い出す。
人の目をじっと見る快感を思い出す。
強引な捕捉感。
相手を捕まえたような不思議な感覚。
繁徳は舞の目に映り込む自分を見た時、自分が舞の中に入り込んだような錯覚を覚えたのだ。
高揚する一体感。
入り込んで捕らえたというリアルな感触。
(フランシスもこうやって千鶴子さんを捕まえたのかな?)
きっと捕まえたんだ、と繁徳は確信した。