もてまん
キュルキュルと繁徳のお腹が音を立てて鳴った。
(腹減った……)
繁徳は勢いベットから起き上がると、一階の食堂に降りた。
そこには母幸子がひとりいた。
幸子はひとり、食堂のテーブルに、大きく新聞を広げて読んでいる。
毎日の日課だ。
「あら、繁徳、休みなのに早いのね」
繁徳が降りてきたことに気付くと、幸子は新聞から顔を上げた。
「こんなに明るくちゃ、寝てらんないよ」
「髪、切ったんだ。なんか若返った感じよ」
(俺ってそんなに老けて見えてたか?)
確かに、気分は老け込んで、無気力でいたことは否定できなかった。
だから、
「俺、まだ十八なんだけど」
繁徳は、自戒を込めて呟いた。
実際、繁徳は、この三月で十八になったばかりだったのだ。