もてまん

ジョセフィーヌは、大きな貿易会社を経営していて。

その船旅も、実は彼女が先回りして各国で商談をまとめて、その後を船が追うようなかっこうでね、夫々の港で商品を船に積み込んでたって訳だったのさ。

フランスに着くと、早速、新しい生活が始まった。

ジョセフィーヌは勢力的な女性で、思い立ったら即実行に移さないと気がすまない。

また、その決断が正確でね。

まあ、そのお陰で彼女の貿易会社は成功していたわけだよ。

すっかり彼女に気に入れらた繁さんは、秘書として彼女に付いて、それこそ世界中を回った。

新しい体験ばかりで、学ぶことだらけだったって。

そして、四年後、ジョセフィーヌは繁さんに、仕事の一部を任せるようになったのさ。

彼女は独身で子供もいなかった。

そのせいもあってだろうね、繁さんのことを本当の息子のように可愛がっていたよ。

あたしと出会ったころの繁さんは、丁度仕事をジョセフィーヌから任されて、少しプレッシャーを感じながらも頑張ってる頃だった。

一人で色々考えることがあって、夜一人、キャバレで食事をとっていると、あたしの歌が聞こえてきたんだそうだよ。

その頃のあたしは、レパートリーが少なかったから、時々日本の子守歌とか童謡をアレンジして歌ったりしてた。

繁さんは、それが特に耳に残ったって言ってたね。

郷愁ってやつさ」
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