もてまん

額に入れた結婚式の写真と、古びたアルバム。

写真の真ん中には、ウエディングドレスを着た若くて美しい千鶴子と、眼鏡をかけ痩せた背の高い繁。

二人の両脇に立っているのがジャックとジョセフィーヌだろう。

その周りには、手を挙げたり、かしこまったり、思い思いのポーズをとった友人達の姿が写っていた。


「楽しそうですね。千鶴子さんも、若くて綺麗です」

「そうだね、楽しかったよ。それにね、幸せだった」

「こっちの写真も見ていいですか?」

「勿論」


アルバムを開けると、そこには仲睦まじく二人並んだ千鶴子と繁が沢山写っていた。

後ろの景色が山だったり、海だったり、美術館らしき場所だったり。

「繁さんもあたしも仕事が忙しかったから、二人の時間を持つのが難しかったんだけどね。

一日でも暇ができると、繁さんはあたしを誘って海や山や色んなところに出かけたものさ」


千鶴子は写真を一枚一枚指差しながら、繁徳に何処で撮った写真かを語った。
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