夏の空の虹
メールをうちおわった。

―ガラっ。

ドアが開いた。

先生とお母さん、お父さん、一輝、山中さん。

普通は

集中治療室とかで

治療するんだろうけど

俺の場合

手の付けどころがない。

このまま

さよならなんだな。

もう、隠すコトなく

泣いていた。

声をあげて…皆。

お母さんは俺に近寄り

体を震わせて

泣き叫びながら

俺の手を握った。

お父さんも泣きながら

お母さんを支えていた。

一輝は

涙を堪えてるつもりで

だけど

ダラダラ零れている。

山中さんも、先生も

皆泣いていた。

それから

―ガラっ。

ドアが突然開いたと思えば…

この何年間の入院中

関わってくれた先生、看護婦さん、患者さん…

皆が次々に入ってきた。

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