猫マンションとねずみの塔
【一号室】臆病な天気予報士と幽霊マニアの少年
 全部、雨のせいだ。
 だから、僕は今日に限ってこんなにツイてないんだ。きっとそうに違いない。

 雨が止む気配はなかった。むしろ、足音すら消す程に、激しさを増して来たみたいだ。ラヂオの天気予報も今日は晴れだって言っていたのに。しかも、過去二十年間、予報を外したことがないことを売りにしている《ブルー・スカイ天気予報社》だったのに。
 僕は教室の窓から雨が降るのを見た瞬間、裏切られた気分になった。
その後、傘を持って来ていなかった僕は、それから晴れるのかどうか知りたくて、昼休みに食堂でラヂオを聴いていた。

《ブルー・スカイ天気予報》をやっているラヂオ局は、二十四時間、天気予報ばかりを絶えず流している。だから、その局を回せば、天気は一発で分かる仕組みだ。
 でも、ラヂオからは天気の情報は流れてこなかった。それどころか、色々な人の声がして何を言っているのか、さっぱり分からなかった。
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