猫マンションとねずみの塔
「あっ」

 僕は思わず声を上げた。
 一瞬迷ったけれど、地面に転がっていたチョークを急いで拾い上げ、いままで読んだ文章を口の中で何度も唱えながら、手元にある紙に書き留めた。

 金雀枝のほうきって何だろう。
 今晩、おばあちゃんに聞いてみよう。もしかしたら、魔女か何かのほうきのことかもしれない。


 帰る途中、やっぱり美容師の視線を痛いほど感じたけれど、気にせず僕は自宅の道を綱渡りするかのように、慎重に辿っていった。
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