猫マンションとねずみの塔
すると、ママは間の抜けた声を上げた。どうやら、棚の後ろのやっかいな埃と格闘しているようだった。獲物を狙う猫みたいな顔をしていた。ひと試合終えると、ママは僕の方に顔を向けた。
「その子、連れて来たんじゃなかったの?」
「違うよ。だって、うちにはエリカがいるじゃないか」
エリカというのは、僕が学校に入る時、おばあちゃんからお祝いとして貰った猫の名だ。目の前の白い猫とは対照的に真っ黒い毛をしている。
「そうなの。ママはてっきり、この子のために猫マンションを探してあげてきたのかと思ったわ」
「どうして、ママが猫マンションのこと知ってるのさ!」
僕はここでやっと、さっき猫マンションの入居募集を書き留めた紙が、手元に残っていないことに気付いた。
どうやら僕はうっかり、お酒の包装紙に書いて、そのままママに渡してしまったようだった。
僕は真っ赤な顔をしてママを見上げたが、ママは何故僕がそんなに大騒ぎしているのか分らない様子で首を傾げていた。
「エリカー、お友達ができたわよー」
そう言って、ママは子猫を赤ん坊のように抱き抱えると、エリカがいつもいる台所へ行ってしまった。
こうして、いつの間にか白い子猫は家族になってしまったのだ。
「その子、連れて来たんじゃなかったの?」
「違うよ。だって、うちにはエリカがいるじゃないか」
エリカというのは、僕が学校に入る時、おばあちゃんからお祝いとして貰った猫の名だ。目の前の白い猫とは対照的に真っ黒い毛をしている。
「そうなの。ママはてっきり、この子のために猫マンションを探してあげてきたのかと思ったわ」
「どうして、ママが猫マンションのこと知ってるのさ!」
僕はここでやっと、さっき猫マンションの入居募集を書き留めた紙が、手元に残っていないことに気付いた。
どうやら僕はうっかり、お酒の包装紙に書いて、そのままママに渡してしまったようだった。
僕は真っ赤な顔をしてママを見上げたが、ママは何故僕がそんなに大騒ぎしているのか分らない様子で首を傾げていた。
「エリカー、お友達ができたわよー」
そう言って、ママは子猫を赤ん坊のように抱き抱えると、エリカがいつもいる台所へ行ってしまった。
こうして、いつの間にか白い子猫は家族になってしまったのだ。