猫マンションとねずみの塔
「リベラル、お迎え悪かったわね」
僕がおばあちゃんがいつも出て来る八番線入口の近くの改札口に着くと、五分もしないうちに彼女は現れた。
おばあちゃんはそう言うと、僕の頭を撫でた。彼女は相変わらず、魔女を連想させる黒いローブを着ていた。左手には長い蝙蝠傘と右手には年季の入った革製の四角い鞄を提げている。その鞄からは何故か、植物の蔓がはみ出していた。
「おばあちゃん、この中で何か育ててるの?」
僕は鞄を指差しながら、言った。
おばあちゃんは僕の言葉に一瞬不思議そうな顔をした。けれど、蔓を見て目を大きくした。
「かぼちゃの蔓だわ! 急いでいたから挟んできちゃったんだわ」
「かぼちゃ?」
「そうよ。舞踏会に馬車はつきものですもの。かぼちゃの馬車がね」
僕が首を傾げながら、蔓に触ろうとすると、おばあちゃんの手に遮られた。
僕がおばあちゃんがいつも出て来る八番線入口の近くの改札口に着くと、五分もしないうちに彼女は現れた。
おばあちゃんはそう言うと、僕の頭を撫でた。彼女は相変わらず、魔女を連想させる黒いローブを着ていた。左手には長い蝙蝠傘と右手には年季の入った革製の四角い鞄を提げている。その鞄からは何故か、植物の蔓がはみ出していた。
「おばあちゃん、この中で何か育ててるの?」
僕は鞄を指差しながら、言った。
おばあちゃんは僕の言葉に一瞬不思議そうな顔をした。けれど、蔓を見て目を大きくした。
「かぼちゃの蔓だわ! 急いでいたから挟んできちゃったんだわ」
「かぼちゃ?」
「そうよ。舞踏会に馬車はつきものですもの。かぼちゃの馬車がね」
僕が首を傾げながら、蔓に触ろうとすると、おばあちゃんの手に遮られた。