あたしの意地悪不良彼氏

着いた場所は図書室。

『…凌。』
『あ?』
『ありがとね。』
『あぁ。』
『…あたし。あたし。ね?…ッ。本当に…ッ』

溢れ出す涙をこらえきれなくて言葉を続ける事が出来なかった。

『…ッ!』
『…。』
『…凌?』

あたしは急に凌に抱きしめられた。

『ごめんな。』
『…え?』
『守ってやれなくて。泣かせちまって、ごめんな』
『凌は、なんにも悪くないよ。あたし、嬉しかったよ?凌が助けにきてくれて。』

普段とは正反対の弱々しい声に少し動揺しつつ、あたしは答えた。

『…ッ』

そして、互いに引き寄せあうように何度も何度もキスをした。

ねぇ。
凌。
あたしはスキだよ。

凌からのキスも今は嫌じゃなかった。
< 37 / 84 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop