レプリカ3分前

「まぁ流石にそれは冗談として、うぅん、どうしようか?俺、ちょっと運転手に良い宿があるか聞いてくるよ」

そう言って、待合室から出ていってしまった


日下部の隣には本を読んでいる樹市子

気まずい
勝手に一人で気まずい
樹市子は何にもなんとも思ってないだろう

最初話したときだって、家に言ったときだってそうだ

日下部が一方的に話し、それに頷いたり、「ああ」や「わかった」と返事をするだけだった


しかし、慣れとは恐ろしい、もうそんな樹市子に慣れてしまった

慣れたのはいいものの、暇だ

入澤が帰ってくるまで暇だ

しょうがなく、樹市子に話しかけてみた


「なに読んでるの?」


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