レプリカ3分前
樹市子の足が少し動いたのを日下部は見逃さなかった
本を読んでるときは静止状態の彼が、少しでも動くのは本当に珍しい
「どうして志波さんなの?」
さらに質問までしてきた
彼が質問をするなんて、自分の話に興味を持つなんて珍しい
「いゃだって、志波さんなら構ってくれそうだし」
樹市子は頷いた後、また本に目を向けてしまった
志波恵(シバナメグミ)は大学院3生の大先輩で、日下部が中1の頃にお世話になった、いわば彼女にしてみたら色々な面での恩人である
「あらあらあら?どうして志波さんの話をすると凄く興味を持つの?」