レプリカ3分前
ドアを開けると、小さいフロントがあり、そこで入澤が着物を着た女性と話していた
樹市子は椅子に座って本を読んでいる
一応私は女で、一晩、女1人と男2人の状態で過ごすのだ
もう少し慌てるか動揺するか、とにかく何かもっとリアクションをしてくれないものか
と日下部は思ったが、慌てふためく樹市子の姿を見るのは、毎年宝くじで1等を当てるのと同じくらい不可能なことに気がつき、くだらないことを考えるのは止めた
「入澤さん、どうなったんですか?部屋」
入澤は日下部に鍵を渡しながら言う
「うん、3部屋空いてるんだけど、1部屋今日予約されているから2部屋しか使えないって。まぁラッキーだよね、部屋が空いていて」
いつの間にか樹市子も入澤のそばに来ていた