ボランティア委員
「……留美のケータイ」
留美のケータイを盗んだのは、河原崎先輩だった――
「先輩が、昨日の4時間目の後、盗ったんですね」
あの時は、ベランダが開いていた。
きっと、私が来て焦った先輩は、そこに隠れたんだろう。
私がマリナと話している間に、ケータイを持ったまま、慌てて自分の教室に戻った。
でも、先輩はきっと、盗むつもりはなっかたはず。
先輩は優しく、人の痛みが分かる人で、決して故意に盗みを働くような人ではない。
「先輩には、理由があったんですよね。」
先輩を睨みながら、強く言い放つ。
故意でなかったとしても、よほどの理由でない限り、許しはしない。
留美は私の友達だ。
「……。……メールを……消そうと思ったんだ。」
先輩が一瞬、逡巡してから答える。