戦場駆け征く
「座れ、漣犀」

「はい」

ふ、と微笑んで、玲瑛は頭を床に付けて礼をする漣犀に椅子を勧めた。

「春鈴に養われただけある。礼儀はしっかと躾けられているようだ」

「春鈴様には感謝致しております。榛討伐の総大将に春鈴様を任じて下さったこと、心より有り難く存じます」

「余は、春鈴の父に武芸を教わった。春慧、優れた男であった。…戦で余は師を亡くした。そして父も。あれ程愚かだと罵られ、また罵ってきた王でも失えば悲しい。余の父親だからな…」

遠い目をして、王は漣犀を見詰めた。

何もかもを見透かしそうな目だった。しかし、今更見抜かれて困るような事も無い。
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