戦場駆け征く
「…ほう?」


「その策を話しただけでは、ただの馬鹿げた計画性の無い策です。しかし、その策ならば、成功する可能性も無くは無い。説明をさせていただけますか?」


「あぁ」


その将軍は立ち上がって話を続ける。

「私が練り上げた暗殺集団がおります。まずは彼らに数人の兵を屠らせ、敵を混乱させる。…同士討ちをさせるのです。聞けば榛の兵は碌な訓練も受けていない、とか。同士討ちが始まったらこちらがそれに合わせて少数で奇襲を掛けましょう。そしてある程度戦果が上がったら私たちは退却、そして…」

「…敵陣に火を放つのだな」


はい、と笑顔を見せたその将軍。まるで…感情が凍っている様に見えた。

誰も彼も、命を数としか捉えていない。


「…では、陣を展開しろ。お前は暗殺部隊の準備を整えろ」

彼女に頭を下げ、全ての将軍と隊長が退出した。


漣犀はそこに、一人残される。
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