戦場駆け征く
……動けない。
目の前で、この瞬間に命が消える。死ぬ。殺される。殺す。
これから、沢山の血が流れる。
それが、戦争なのだから。


そう言えば、自分を買った時の春鈴は二十歳だった、と思い出す。
あの時から春鈴は、この戦場で戦っていたのだろうか。藍侫や春鈴を抱き締めた瞬間にした鉄の匂い。足が竦んだ。

『お前は戦神になるべくして生まれてきたんだ』

その言葉が走る。どうにも出来ないほどの重さを伴って。
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