戦場駆け征く
「いつの間に…」

「…いや、孫凱殿が玲に滞在なさっているのは知っていた。無礼とは思ったが、藍侫の部下にあらかじめ調べを付けさせておいた。―して、孫凱殿、それは、真の事か?」

孫凱は優美に一礼し、蝶が舞うように玲瑛の前まで歩む。…先程の農民の振りを、いや『農民をしていた』時との違いに漣犀は少し怯んだ。確か自分より二つ下だと聞いたが、驚かされる。

「叩頭せぬ非礼をお許し下さいますよう」

微かな微笑みを浮かべて孫凱は玲瑛に言う。

「ああ、こちらこそ碌な持て成しも出来ずに申し訳ないな」

玲瑛は足を組み替えながら答える。
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