戦場駆け征く
「…私が申し上げた事は真実でございます。決して奸策等ではございません、坤の民も私達も、自分が可愛いのでございます。
戦をせずにこの世を生きることが出来れば良いのです。…それ故、坤は玲に味方しようと思います。
数日経てば、恐らく父上からの封書と使者がやって来る筈でございます。味方である玲を欺くなど、坤には損でしかありません」


玲瑛はくつくつ、と笑う。

「そうだな、孫凱殿よ。あくまでお主らは損得で動く国であったな。…信じようぞ」


玲瑛はそう言って、書状を書きはじめる。それは、一時休戦を求めるものだった。
< 62 / 102 >

この作品をシェア

pagetop