戦場駆け征く
七・惜別と地獄
………
「今度は珪か。王様も必死だな」
邑丁は腕を組んだまま、しかし冗談めかしてそう言った。
今乗っている船は、真っ直ぐに珪に向かっていた。珪の騎馬隊は優れていると有名であり、陸攻めは断念することとなった。
「この船はさ、珪に向かってるんじゃないな」
「じゃあ何処にだよ?」
「地獄、だ。俺達が今向かっているのは国なんかじゃない」
「…どういう意味だ、邑丁」
―生きて戦えば生き地獄を見る。死ねば人殺しは地獄へ堕ちる。
そういうことだよ。
そう言った邑丁の顔は、出陣前の戦士の顔に変わっていた。
今からすることは唯一つだ。
殺し殺して、生き延びること。
「今度は珪か。王様も必死だな」
邑丁は腕を組んだまま、しかし冗談めかしてそう言った。
今乗っている船は、真っ直ぐに珪に向かっていた。珪の騎馬隊は優れていると有名であり、陸攻めは断念することとなった。
「この船はさ、珪に向かってるんじゃないな」
「じゃあ何処にだよ?」
「地獄、だ。俺達が今向かっているのは国なんかじゃない」
「…どういう意味だ、邑丁」
―生きて戦えば生き地獄を見る。死ねば人殺しは地獄へ堕ちる。
そういうことだよ。
そう言った邑丁の顔は、出陣前の戦士の顔に変わっていた。
今からすることは唯一つだ。
殺し殺して、生き延びること。