戦場駆け征く
………


剣を磨く。それが漣犀の日課になりつつあった。

三年の間に色々な事が有った様な、そうでもない様な気がする。あの日、彼女に自分の身体を売った瞬間から全てが変わったのだ。

『人の殺し方を教えてよ』
思えば、ごく自然に出た言葉だった。

武芸作法学問、彼女の言うことはいつも正しい。彼女はこの国の武官でも頂点に立つ女だろう。彼女の教えを忠実に守っている現在、細すぎた身体には筋肉が付き、性に飢えた男女を悦ばせることしか出来なかった白い掌は、いつか見た彼女の掌と同じ様に肉刺が出来ていた。
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