都会の魔女
第一夜 : 顔
ある満月の夜・・・

都内某所のさびれたマンションの一室。

リラックスした雰囲気の中、大好物の豆大福をほおばりながら
ペットボトルのコーラをゴクゴク飲んでいる女が一人いた。

見た目はハタチそこそこの どこにでもいそうな一人暮らしの女だが、彼女は普通の人間では無い。

都会の人ごみに紛れ ひっそりと人の心の闇を探し求める魔女なのだ。

この街ではお互いを干渉しないし、隣人と顔を合わさずとも生活できる。 

買物だって店の者と目も合わさないし 言葉もかわさなくていい。

正体を隠して生息するにはうってつけなのだ。

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