都会の魔女
鍵穴にさした鍵をゆっくりとまわすと、静まり返った部屋に
“カチャッ”
と言う音が響いた。

慎太郎はそっと玄関のドアを開けた。

そして5センチ程ドアを開くと、その隙間から部屋の中を覗いた。

玄関に入るとすぐに、3畳程のキッチンがあるはずなのだが、
真っ暗で中の様子は全くわからない。
耳をそばだててみても、何の音もしなかった。

「ヒロコ、いないのか?」

慎太郎は小声で言ったが、何の反応もない。
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