都会の魔女
「いいですよ。
訴えたかったら訴えても。

こいつはマスティフと言う犬種でね、軍用犬としても使われたいたくらい気性が荒いんですよ。

あまりしつけが行き届いていないもんで
俺が止めても言うこと聞かない時があるんです。

ましてや俺に敵意を持っているあんたにだったら、何するかわかりませんよ。」
と、半ば脅しとも思える事を言った。

直人の言う通り、アレクサンダーは興奮して今にも恵介に飛びかかりそうだった。

恵介はアレクサンダーのあまりの迫力に圧倒され、エレベーターを後ずさりしながら降りた。

「じゃ、そっちの店も頑張ってください。」

直人は犬をつないでいるリードを、人差し指と中指にクルクルと巻きつけながら
ほくそ笑んで言った。

そしてエレベーターの扉はゆっくりと閉まっていった。

と その時。
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