都会の魔女
興奮を抑えられないアレクサンダーは
恵介を追ってエレベーターのドアの閉まる瞬間に飛び出してきた。

「うわーっ!」

恵介はアレクサンダーに“襲われる”と思い
その場にしゃがみこんで目をつぶった。

「キャン・・・」

弱々しい犬の声がした。

恵介はそっと目を開けエレベーターの方を見た。

するとアレクサンダーの体は、エレベーターの扉の中に引っ張られるように持ち上がっていた。

アレクサンダーはしばらく手足をバタバタさせていたが
上へと上がっていったエレベーターの中から
「ギャー!」
と声がしたのと同時に
アレクサンダーの首にかかっていたリードが緩み
徐々にアレクサンダーの体も下に降りてきた。

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