都会の魔女
その日の晩。

イシュのパソコンには、いつもにように
闇に追い込まれた人間が出口を求めやってきた。


三浦明日香 17歳。

家族は父、母
そして9歳年の離れた兄がいたが
父親は明日香が11歳の時に事故で亡くなった。

父が死んだ後は 母と兄と共に、父の残してくれた家で
慎ましく助け合いながら暮らした。

まだ子供だった明日香にとって、父がいなくなった寂しさは大きかったが
その分役所に勤める兄の“亮介”が大黒柱となり 
明日香はもちろん、家族を支えてくれた。

亮介は勤勉で誠実だった。
また物腰が柔らかく、年の離れた妹の明日香をとてもかわいがってくれた。

そんな兄の事が明日香は大好きで、いつも自慢に思っていた。
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