初恋タイムスリップ【完】
成海くんの部屋に入って、私はベットに腰掛けた。



成海くんは、私の前に立って、首に手を回した。


「お誕生日おめでとう。美音」


私の首に…ネックレス

細いチェーンに、小さなリングがついている。


「社会人になったら、もっとちゃんとしたのプレゼントするよ」


「そんな…ありがとう」



成海くんが隣に座った。




「美音は進路決めた?」



進路…



お母さんのためには、T音大付属高校に合格できるように、頑張った方がいいかもしれないけど

お父さんの収入が減ることを考えると、

私が行った公立の普通科に入って、国立のG大のピアノ科に行く…

私のこの進路は変えられない、
変えてはいけないと思った。





「私は公立の普通科を受けようと思う」




「ピアノの方にいかないの?」



「私立の音大は…お金がかかるから。

でも大学は国立のピアノ科を目指すよ」



「そうか…お母さんは大丈夫か?」



「まだ…私がいるときは、部屋から出てこない。
でもね、お父さんが仕事を辞めてね。

お母さんのそばにいてあげたいって。
だからきっとお母さん変わると思う。元のお母さんに…」




「美音のお父さん、かっこいいな。

男が仕事を辞めるって、相当な覚悟だと思うよ。
お母さんを愛しているんだな。かっこいいよ。
きっとお母さん変わるよ」




「うん。

そういえば、成海くんのお父さんってどんな人?」






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