初恋タイムスリップ【完】
「おいで…」


成海くんは部屋を出て、長い廊下を歩いて一番奥の部屋を開けた。


「ここは…?」


「父さんの書斎だよ」



「入っていいの?」

「大丈夫だよ。これ…見てごらん」


分厚いアルバムが、何冊も大きな本棚に並んでいた。



成海くんがアルバムを開くと、たくさんの赤ちゃんの顔写真がはってあった。


「父さん、写真が趣味でね。
取り上げた子はみんな写真を撮って、

一枚は出産したお母さんにあげて、もう一枚はこうやってアルバムに入れているんだ。

すごい数だろ。

こっちは出産したお母さんたちからの、お礼の手紙だよ」


「…出産?」



「あ…
父さんはF医科大病院の産婦人科医なんだ。
忙しいから、うちの父さんもほとんど帰ってこないよ」



「お医者さん…?」





「もう暗くなるから、送っていくよ」



「まだ私、時間大丈夫だよ?」



「今日は誕生日だろ?送っていくよ」




< 106 / 237 >

この作品をシェア

pagetop