初恋タイムスリップ【完】
夕焼けの中を、二人で歩いた。


「成海くんのお父さんがお医者さんだなんて、知らなかった」


成海くんは笑った。


「最初は恥ずかしくてさ、友達にもあんまいってない。

産婦人科っていうと、なんか…女のあそこばっか見て…って、変なふうにいうやつもいるから」



「ひどいね…」



「今は全然恥ずかしくないよ。むしろ、誇りに思う。
父さんすげ−なって」




「成海くんもお医者さんになるの?」



成海くんは、ふっと笑った。


「産婦人科医にはならないよ。

でも医者にはなりたい。

優を見てきたから、
俺、耳鼻科医になりたいんだ。

優の耳を手術してくれた医者みたいに、難聴の人の役に立てる医者になりたいんだ」





初めて知った、成海くんの夢。



24歳の成海くんは、お医者さんになっていたんだろうか…






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