初恋タイムスリップ【完】
成海くんは、毎年、リレーのアンカーだった。


私は違うクラスなのに、心の中で、成海くんを応援した。




「成海せんぱ−い!!」



「キャー成海先輩かっこいい!!!」



一年の女子たちが、盛り上がっている。




キャー…





やっぱり成海くんは、どんどん抜いて、一位でゴールした。





クラスの男子達が、成海くんの周りに集まって、成海くんをボコボコたたいて喜び合っている。




3年男子のリレーが、体育祭の一番最後の種目。



閉会式も終わり、みんなで後片付けをしていた。


一年女子が固まって、少し離れたところから成海くんを見ていた。



成海くんがちょっとそっちを見るだけで

キャー−−−

成海先輩〜〜〜〜〜〜





成海くんはちょっと、イラッとして、そっちを見ないようにしていた。




しばらくすると、一年女子と成海くんの間を、小さな男の子が走ってきて、思いっ切りこけた。





優…くん?





私はすぐに駆け寄った。



「優くん。


大丈夫?」



優くんは泣いてなかった。


優くんは、左耳を一生懸命触っていた。





「おみみ あ−い」





おみみあい?



お耳…




あい…






お耳………ない!!










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