初恋タイムスリップ【完】
刻々と未来に戻る時間が近づいてきた。
夕方になると、春なのに急に寒くなってきた。
「雨が降りそうだから、俺、帰るな」
成海くんは荷物を持った。
「途中まで送っていく」
「いいよ、今日寒いから」
「ううん。大丈夫。橋の所まで送らせて」
成海くんは私の頭をなでた。
私は成海くんに、頭を撫でられるのが本当に好きだった。
「わかった。じゃあ行くか」
二人で玄関を出た。
壁に挟まれた細い道、
途中にある大きな石、
思い出がたくさん詰まった道を二人、
手をつないで歩いた。
泣かない
絶対に泣かないで
ちゃんと元に戻そう。