初恋タイムスリップ【完】



しばらく沈黙が続いた。




川の流れる音がした。









「わかったよ。






美音







別れよう………」







成海くんはまた、私を強く強く抱きしめた。



その時、




桜の花びらのような雪が降ってきた。



夕方から夜へ



過去へ戻った日も春の雪が降った日だった。





「ありがとう…成海くん」



私はこれで

未来へ帰れる







私は成海くんの胸をゆっくり押してそっと離れた。




空が暗くなり、雪が輝き始めた。





「さようなら成海くん」








私は家の方向へ歩き出した。




振り返らない




泣かない





振り返らない












「美音−−−−!!」




私は思わず立ち止まった。





「美音を好きになって、

俺は…幸せだった!

もっと自分に自信を持てよ!

ちゃんと食べろよ!!!


美音!!!




…幸せにしてやりたかった…








…幸せになれよ!!!」






私は


振り返った。



「うん!!!」






私は前を向き直して、






家へ走った。












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