初恋タイムスリップ【完】

月が明るい夜だった。



「まあ、座んなさい。

美音、お茶持ってきてくれ」




お父さんは成海くんに縁側に座るように勧めた。




私は縁側から和室に入り、廊下を通って、リビングに入った。




お茶を入れながら、ふっと笑った。


…なんだか花火大会の時みたい…





私はお茶を三つお盆に乗せて、和室の前で立ち止まった。



そうだ、あの時も月が明るい夜だった。



月明かりに照らされた

お父さんと成海くんの後ろ姿。






「仕事は何をしているんだ」



そんな…お父さんいきなり…




「東京の大学病院で、医師をしています。

まだ…研修医ですが」



「そうか…」







沈黙







だから…



それだけかい!




私は一歩、和室に入った。




「美音さんと結婚を前提に、お付き合いさせていただきたいと思ってます。
必ず幸せにします」




成海くんも、そんないきなり…





お父さんは、アハハハと笑った。






「成海 良くん




“一人前になったら必ずまた挨拶にくる”


私との約束を守ってくれてありがとう」








…………………え?








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