初恋タイムスリップ【完】
お父さんも…………
もしかしたらお父さんも過去を修正しに行っていたのかな…
過去のお父さん、お母さんに一生懸命尽くしていたもん。
「成海くん、美音をよろしく頼むよ」
お父さんは夜空を眺めながら、そう言った。
「はい」
帰り、あの時成海くんと別れた橋まで見送った。
あの時よりも、たくさん桜が咲いている。
「美音。
これからは、一緒に同じ思い出を作っていこう。
夢じゃなくて、現実で。
俺が必ず、
美音を幸せにする」
成海くんは私の肩を引き寄せ、
抱きしめてくれた。
「東京って場所は離れているけど、心はいつも美音のそばにいる。
10年間会えなくても、心が離れなかったんだ。
大丈夫だよな。
あんまり・・ていうか、
ほとんど休みがないんだけど、
休みの日には必ず会いにくるよ」
「うん」
「明日少ししか時間ないんだけど、
うちに来る?」
私は頷いた。
「母さん喜ぶよって…実際に会うのは初めてか」
成海くんは笑った。
「じゃあまた明日な」
「うん」
私はまた、成海くんが見えなくなるまでずっとずっと見送った。
成海くんもまた、何度も振り返りながら帰っていった。