初恋タイムスリップ【完】
−−−3年後の春−−−
私の目の前には、大きな扉
私の右隣には、お父さん
私は白いドレスを着て、白いブ−ケを持って立っている。
「お父さん、私が東京にお嫁に行くの寂しい?」
「寂しいが、美音の幸せが一番だ。
親の顔色をうかがうことなんかないんだ。
美音は美音の道をいきなさい。
親っていうのは、子供が幸せなら親も幸せなんだ」
お父さんは真っすぐ前を見ながら言った。
「お父さん。私……
たくさんお父さんに救われた。
お母さんの分も、お父さんが私に愛情をそそいで育ててくれたから
私は
私は……
本当にお父さんの娘で、よかった」
お父さんは上を見上げた。
その時、
目の前の大きな扉が開いた。
教会の中からパイプオルガンの音がした。
バ−ジンロ−ドの途中に、成海くんが立っていた。
私はお父さんの腕に手をかけ、
ゆっくり
ゆっくり
今までの過去を確かめるように
一歩ずつ前へ進んだ。
成海くんのところまできて、立ち止まった。
「美音を幸せにしてやってくれ」
お父さんは深々と頭を下げた。
お父さんは泣いていた。
「必ず幸せにします」
私はお父さんの腕から手を離し、成海くんの腕に手をかけた。
お父さんはずっと頭をさげたまま静かに泣いていた。