初恋タイムスリップ【完】
「付き合って…ない。友達なだけ」


嘘をついた。



「美音はピアノの事だけを考えなさい。

T音大付属高にいくのよ。わかったわね!」



掴んだ襟ぐりを勢い良く離して私を突き放し、



お母さんは、部屋から出ていった。





風邪は大丈夫?とか
言ってくれないの…?




母親とは普通の親子の会話をしたことがない。




学校は楽しい?

友達はどんな子?

そんな事聞かれた事がない。


ただ、私を有名音大に入れて周りに自慢をしたいだけなんだ。



私だって周りの子たちみたいにおしゃれしたいのに…

もう何年も新しい服を買ってもらっていない。



母親の前でオシャレをすることなんて、絶対に許されない。



だからいつも普段は制服でいたんだ。







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