ドーンッッッ!!
彼女の、整った薄い唇から ふうぅっ と吐き出された、白く濁った息を眺めながら
何なんだ、この恐ろしい女性は
と、肝を冷やした時。
「はぁう~っ」
いかにも“萌えッ!!”な声が聞こえてきた。
振り向くと、先ほどの魔女っ子が 空澄の敷いた羽の中で脱出できずにもがいている。
「眼鏡…眼鏡ッ!!」
ああ…眼鏡が無いわけね?
「…空澄。アレ、消してやれよ」
「はいはぁ~いッ」
ポヒュン
明るい効果音と共に、一枚残らず消えて無くなった羽の束。
コレで彼女も眼鏡を思う存分探す事が出来るだろう と思ったのだが。
「アレッ?ひゃっ!!」
羽が消えた事によって、若干宙に浮いた状態になった少女。
うつぶせの状態で地面に落下した彼女は、見事に眼鏡の上に着地した!!
バキャッ
鈍い音を立てながら 案の定眼鏡は粉々に砕け散る。
「ふぇ~ん…!!壊れちゃったぁーー!!」
泣きながら眼鏡を拾い集める彼女。その様子を、俺と空澄は茫然と眺め
お姉様は舌打ちをしながら煙草をふかし
アイユはじっとその様子を観察する。
ただ、その中で一人だけ。
ルナだけは彼女に駆け寄って
「大丈夫だからッ。泣かないでください~!!直してあげますから!ねっ?」
と慰め始めたのだった。